ご相談前の状況
ご依頼者はこれまでアパートで一人暮らしをされていましたが、建物の取り壊しに伴い、老人ホームへご入居されることになりました。ご両親はすでに他界、兄弟姉妹もおらず、結婚歴もないことから、いわゆる「おひとり様」としての生活を続けてこられました。
これまで誰にも迷惑をかけずに生きてこられた分、「将来、認知症になった場合はどうすればいいのか」「自分の死後、財産はどうなるのか」「葬儀や手続きは誰がやってくれるのか」といった不安を感じておられました。
ご相談後の対応
当事務所では、そうしたご不安にしっかりと向き合い、3つの契約を通じて包括的な備えを行いました。
①任意後見契約
将来、判断能力が低下した際に備え、信頼できる後見人を定めて財産管理や身上保護を託す契約を締結。
②遺言書の作成
ご自身の死後、残された財産を社会貢献として寄付されたいという強いご希望を踏まえ、公正証書遺言を作成。
③死後事務委任契約
葬儀・火葬・住民票等の抹消・医療費清算など、死後の各種手続きについても、信頼できる者に託す契約を締結。
すべての契約は、ご入居された老人ホーム内で公証人に出張してもらい、ご本人の体力と生活状況に配慮した形で無理なく作成することができました。
当事務所からのコメント
おひとり様の終活は、「自分の人生の幕引きをどう迎えるか」という、とても個人的で尊厳ある決断です。今回のご依頼者様は、誰かに頼るのではなく、「自分のことは自分で決めておきたい」と考える自立心の強い方でした。私たちは、そのお気持ちに丁寧に寄り添いながら、「認知症になった時」「亡くなった後」「財産の行き先」それぞれに備えるための法的サポートを総合的に提供しました。おひとり様だからこそ、誰かに委ねる準備を“自分の意志で”行うことが何よりも大切です。
今後も、どなたにとっても“自分らしい最期”を実現できるよう、全力でサポートしてまいります。