兄弟相続の遺産分割協議

兄の想いをかたちに――遺言のない相続、遠方の甥姪と丁寧に向き合って

ご相談前の状況

今回のご依頼者様は、亡くなられたご長男の妹(長女)にあたる方です。

ご長男は生涯独身で地方に独居されており、他界された際には配偶者も子どももおらず、兄弟姉妹のみが相続人となる状況でした。

ご両親および次男(弟)もすでに他界されており、相続人はご相談者様と、故次男の子どもである甥・姪の2名という構成でした。

 

生前、ご長男は体調を崩し入院していた時期があり、頻繁にお見舞いや身の回りの世話をされていたのは長女であるご相談者様でした。そのため、生前には「世話になったおまえに財産を譲りたい」と何度も口頭で言われていたものの、正式な遺言書は作成されないまま、お亡くなりになってしまいました。

 

甥と姪とは長年交流がなく、連絡手段すら定かではない状態であったため、相続手続きが滞ることを懸念されたご相談者様が、当法人へご相談くださいました。

 

ご相談後の対応

当法人では、まず相続人および相続財産の調査を丁寧に行い、法定相続人と相続財産を確定しました。交流のなかった甥姪との連絡にあたっては、ご相談者様のお気持ちと、相手方の心情にも十分に配慮し、状況を冷静かつ誠実に伝える文書を作成して慎重に、かつ礼節を持ってご連絡を差し上げました。甥姪のお二人ともに当初は驚かれたものの、文書を通じて状況をご理解いただき、遺産分割に協力していただけました。

 

当事務所からのコメント

今回のご依頼では、「久しく連絡をとっていない相続人」への連絡という繊細な対応が求められました。ご相談者様としては、「兄の口約束をできるだけ尊重したい」という思いと、「甥姪との関係を損なわないようにしたい」という配慮との間で、迷いや不安もあったかと思います。当法人では、そのお気持ちを丁寧に受け止め、相続手続きを冷静かつ円滑に進めることに尽力いたしました。法的な正しさとともに、人間関係や感情の機微に配慮した対応こそが、円満な相続の鍵になると私たちは考えています。ご依頼者様から「自分一人ではとても無理だった。お願いして本当によかった」とのお言葉をいただけたことが、何よりの励みとなりました。

これからも、もめない相続想いをつなぐ手続きを支える専門家として、真摯にサポートしてまいります。